激遅になった回線速度が「IPv6 over IPv4トンネリング」で元よりも速くなった話

「IPv6 over IPv4トンネリング」によって夜間1Mbpsだった速度が80Mbpsに戻った。いや、今までにないくらい速くなった。ばんざーいという話。ちなみに1Mbpsは画像が少しずつ表示されるほどの遅さ。理論値最大100Mbpsの回線での計測なので、1Gのサービスなら数百Mbps出るはず。

ここ半年ほど前から徐々に夜間のネット接続速度が落ち始め、ついには下りは1Mbps前後となった。部分的には数百Kbps程度で、ADSLより遥かに遅い状態だ。当然、動画サービスはまるっきり利用できない。オンラインゲームも接続が切れたり、ラグや紙芝居状態でまともに遊べない。端的に言えばストレスでハゲそうになった。

ただIPv6対応サービス(※1)は非常に高速でデータがやりとりされる。

※1 例:youtube, google はIPv6に対応しているので遅さは全く感じない。したがって「動画はyoutubeオンリー」というユーザーなら気づかないかもしれない。私はTwitchをよく見るためハゲたし、オンラインゲームでだいたいハゲ散らかすことになる。

この状態は、昨今あちこちで挙がった悲鳴とともに露呈し始めた問題で、スマホの普及によりPC台数より遥かに増えた端末台数で、各個人が動画コンテンツなどの様々なネットサービスを利用するようになったことで、特に夜間に回線がパンクしているというものだ。

いやいや。そんなことは知ったこっちゃない。お金を払っているのだから少なくとも全うにネットが閲覧できるレベルのサービスを提供してもらいたい。ベストエフォートだろうが、光回線なら「ダイアルアップ以上、ADSL未満」という状況は詐欺に近いのではないか。

詐欺となれば総務省マターだ!消費者庁、国民生活センター、タスケテ!と鼻息は荒くなるかもしれない。実際、総務省に対して個人が問い合わせたという話や、総務省の資料内でプロバイダ側がNTTに対してボトルネックの解消を頼み込んでいることが読み取れる。資料

そう。(フレッツ系接続の場合)この問題はプロバイダのせいじゃないということがわかる。とは言うものの、とにかく遅いのでまずは窓口となるプロバイダのサポートにその旨メールする。

答えは予想通り「私達(プロバイダ)には問題がない」という趣旨の内容が返ってくる。予備知識無しでこの回答をもらうと頭に血が上ること必至だろう。しかし、この回答は上述の通り正しくて、プロバイダではどうにも出来ないのが実情だ。本件に限って言えば、ボトルネックはNTTの設備にある。そしてこの設備はプロバイダと地域ごとに割当が決まっている。

NTT側は一回線(セッション)あたり500kbpsを切り始めると対応を考えるというガイドラインに基づいて設備工事をしている。私の1Mbpsで問題なしというのはこのガイドラインから見ても妥当なのだろう。更に具合の悪いことに最低基準は130kbpsということのようだ。130kbpsはテキストサイトでも閲覧がままならない速度なので、こんな基準でインフラを握っちゃっていいんだろうかという疑問もわく。

当初は私もプロバイダを変更すればとりあえず解決するものだと考えていた。間違いではないが正しい選択ともいい難い。運に左右されるギャンブル要素の強い選択肢ということになる。どのプロバイダや地域が混雑しているかなんて、よっぽど丹念に口コミなどを見ないとわからないからだ。また、たとえ今が良くても半年後、一年後に大丈夫かは評判を熱心に見てもわからない。

ということで調べているうちに知った、表題の「IPv6 over IPv4トンネリング」という方法に飛びつくことになる。

プロバイダによっては対応していなかったり、実は対応しているが公にしていなかったり、あるプロバイダでは無料で出来たり、月数百円の有料サービスであったりと対応はかなりまちまちだ。その上サービスの名称もバラバラ(※2)で大変にわかりにくい。名称がバラバラなのはプロバイダのせいというよりは技術的な背景にあるので仕方ないが、とにかくわかりにくい。

※2「MAP-E」≒「v6 プラス」、「DS-Lite」など

また、対応したルーターでないとこのサービスの恩恵を受けられない。そして対応しているルーターは少数のようだ。HGWのみ所有している人は対応ルーターを買う必要があるし、誤ったものを買ってしまった日には目も当てられない。

この「IPv6 over IPv4トンネリング」を調べて、実際にプロバイダに接続方式の変更を依頼し、ルーターを購入し、設置と設定の変更を行ったが、ややハードルが高いと感じた。一つ一つの作業で難しい箇所はないが、現状では情報が点在している感が強く、自己責任という言葉がピッタリの状況だ。

特にネットワーク機器にあまり詳しくない人がHGWなどの設定をいじり始めると、ネットそのものに繋がらない状況に陥りやすいため注意が必要だろう。

プロバイダによっては公式な情報が少ないかまったくないため、本当にうまく接続できるのかという不安にかられることになるはずだ。対応ルーターもそこそこの価格で、公式に対応していないプロバイダの場合は購入が無駄になる可能性まである。

変更後の速度は前述の通り、現在(2017-06-13)のところ夜間でも80Mbpsを出している。

この速度は他のプロバイダに単に乗り換えても出ない速度のような気がしている。「IPv6 over IPv4トンネリング」による恩恵が大きく、乗り換えのみならせいぜい2~30Mbps程度なのではないかと見ている。速度面において相当な優位性を誇るが、全てにおいて万能というわけではなく一部デメリット(※3)があるので留意されたい。

※3「IPv6 over IPv4トンネリング」はポート開放が行えず、自宅サーバーの運営などは行えない

私が契約しているプロバイダ(と私の住む当該地域)が遅かったことで「IPv6 over IPv4トンネリング」を知ることができた。そしてその結果、プロバイダ乗り換えよりも大幅な速度の向上が得られたと考えると心境はちょっと複雑だ。夜間と土日に1Mbpsを切る速度でネット回線を提供し続け、数ヶ月間私をハゲさせたプロバイダに感謝すべきなのか。

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