ミツカンの将棋盤とは一体どういうことなのか

恐らく物心付く前から、もしかすると生まれるまえから家に存在する将棋盤と駒。親戚などから譲り受けたかのような言動を記憶しているが、今となってはよくわからない身元不明品である。ある日唐突に、「もしかしてマウスパッド代わりにいいんじゃないか」と思いついて引っ張りだしたところから始まる。

将棋盤と駒

マウスパッドにされる将棋盤さん

マウスパッドが経年劣化したのか相性が悪いのか、レーザーマウス特有の症状なのか、カーソルがプルプル震えだす現象に悩まされていたのだった。

このプルプルによって文字列選択などでミスを繰り返しているうちに、イライラが限界に達した末、「将棋盤をマウスパッドにしよう」というかなり豪快な結論を得ていた。

しかしそれが意外にも快適な使い心地だった。まず、カーソルは非常に安定的だった。動きも非常にスムーズ。さらに、手に汗をかきやすいので「水分を吸い込む」というのもプラスポイントかと思われた。

プラスチック等のコーティングがなされている机などでダイレクトにマウスを使うと汗を全く吸い込まないので、妙な不快感に耐えなければならない時がある。そんなことを引き合いにだして、「木のマウスパッドは最高なのでは?」などと数秒ほど高揚感に浸っていたが、洗濯や洗浄ができるわけではないので不衛生だということになり、マウスパッドとして歩みだしたこの数奇な運命の将棋盤は、あっけなく短命に終わるのであった。

ここではたと気づく。箱に見慣れたマークが付いている。「Mitukan」と読め、マークも似てる・・・というか、同じじゃないのこれ!?

ミツカンマーク

Mitukan とある

ミツカンは将棋盤を作っているのか?「社長が将棋好きで事業拡大の時に手を出して、でも結局、事業整理時に撤退した」みたいな隠れた歴史があるんじゃないの?

ミツカンと将棋盤のロゴを見比べると微妙に色々違うことがわかる。でも時代でロゴは変わるし、このロゴの時期もあったんじゃないか。ということでとりあえずWikipediaを見てみた。

創業200年を迎えた2004年(平成16年)6月、~(中略)~英文社名がMItsukanからmizkanへ

とある。昔は「MItsukan」だったようだ。しかしこれでもまだ微妙な差が幾つかある。

  • 将棋盤のミツカン:「Mitukan」
  • よく知っている方のミツカン:「mizkan」、過去は「MItsukan」
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食品大手の「ミツカン」のロゴ

モヤモヤするので「ミツカン 将棋盤」で検索すると、手がかりとなる情報が非常に少ないことに気づく。同種の疑問を持つ例に一つだけ引っかかった。

調味料会社のミツカンって昔、将棋駒と盤作ってた?
実家からミツカンのロゴマークのある将棋盤がでてきた
正直意味わからずミツカンのパチもんかなんかだと思ってるけど

別の会社だろ?会社名が被っているのは珍しいことでないし

それがマークも同じなんだ

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ふええ

その他には、オークションサイトにて「◆昭和レトロ◆珍品! ミツカン将棋駒&将棋盤セット」という出品情報があるだけだった。そこにはミツカンについて特に触れられている様子はなく、何も情報は得られなかった。

ここのあたりで諦めかけたのだが、ミツカンと将棋盤の関連についてどうしても気になる。半ば狂ってるような気もしながら、調味料でおなじみのミツカンの「お客様相談センター」に電話してみることにした。忙しいのにごめんなさい。

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私:もしもし、御社では過去に将棋盤を製造販売していたことはありますでしょうか?

オペレーター:何をおっしゃられておりますか???

こうなりますよね。しばらく話をしていると、

オペレーター:過去に同じ社名で同じマークの文房具屋があったと聞いたことはあります

オペレーター:現在まで将棋盤の製造・販売はありません

ということだったので、今度は「ミツカン 文具」で検索してみる。すると、過去にそのような文具メーカーがあったらしいことがわかる。マークも同じだ。ガラスペンてなに?

http://ameblo.jp/kami-bungu/entry-11994788045.html

http://ameblo.jp/kami-bungu/entry-11994788045.html

しばらく検索してみるも、はっきりとした手がかりを掴めないままだった。将棋盤への情報は全く辿れなかったのである。悔しいけれどもここでお開きとした。わかったことをまとめると以下のようになる。

  • 「ミツカン」製の将棋盤がある(事実)
  • ロゴは食品メーカーのそれとほぼ同じものが付いている(事実)
  • 将棋盤に書かれていた英語表記は「Mitukan」(事実)
  • 食品メーカーの英語表記は「mizkan」、過去に「MItsukan」(事実)
  • 食品メーカーの「ミツカン」はこれまで将棋盤を製造販売していない(お客様相談センターに確認)
  • 「ミツカン」という名の文具メーカーがかつて存在しロゴも似ている(事実)
  • 文具メーカー「ミツカン」は現存していない模様(推測)
  • 文具メーカー「ミツカン」に関するネット上での情報は少ない(感想)
  • この将棋盤が文具メーカーのものと結び付けられる情報に辿りつけなかった(感想)

この文具メーカーはガラスペン、シャーペン、筆入れ、コンパス、消しゴム等々の製品を世に出していた模様。大人な文具から、子供向けの玩具っぽい文具まで一通りあったようだ。いずれも昭和の雰囲気を色濃く反映しているものばかりで、調べているうちに当時の子供達の声が聞こえてくるような感覚に襲われた。

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「筆入れ サリー」 http://www.kudan.jp/EC/bungu.html

将棋盤についての明確な出自はわからなかったが、恐らくこのメーカーのものであろうということで、ひとまず心の中は落ち着いたのだった。

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「たいやきケシゴム」 http://www.yamauchiya.info/products/detail764.html

コメント

  1. ゆい より:

    ミツカン文具は1991年に廃業(倒産)しました。
    有名なキャラにカラスと毛虫のMr.Crow&JJがあります。
    なお、将棋盤も販売していました。
    なお、本社は東京(上野)、支店は大阪市(材木町)→東大阪市にありました。
    小笠原産業の一部門(子会社)でした。

    • inseki kibo より:

      ミツカンの情報ありがとうございます。
      誰も来ないネットの辺境にてこのようにコメントを頂き、大げさではなく大変感激しています。
      そして詳細な情報に驚いております。
      昭和から平成へ移りバブル崩壊前夜といった時代の潮目に何があったのかと提供いただいた情報から思いがめぐります。

      • ゆい より:

        私はミツカン文具の関係者でした。
        と言っても社員ではないですよ。
        70年代は版権ものとして、
        「宇宙戦艦ヤマト」「キャンディキャンディ」「ピンクレディ」「ビューティペア」「ドカベン」等の文房具を出していました。
        意外な事にこの時代に「指輪物語」の文具類を出していました。
        しかしながら時代を読むのが下手だったのか、売行きは決して良いものではなかったようです。
        一時はサンリオ路線を狙って「ティモシィ」というネズミのオリジナルキャラものを出していました。コイツとMr.Crowはぬいぐるみも出していました。
        70年代末〜80年代初期はNFLやF1の文具を発売しましたがイマイチでした。
        ミツカンが存続できたのは、大阪支店と任天堂の関係が良好だったのが大きいです。
        ゲームウォッチやファミコンが品薄の時期に、任天堂は優先的に大阪支店に納品してくれていました。
        倒産に至った原因はいろいろありますが、
        私としては大阪支店がゲームボーイを取り扱わなかったことが大きいと思っています。
        ゲームボーイは売れないと考えてのことです。
        90年には初代ガンダムの筆箱とか出してましたが、売れるわけもなく、91年11月に倒産です。

  2. 菅原文司 より:

    いつも楽しく拝見しています。質問です。
    番組の最後の方で将棋盤と駒が写つって
    いる場面がありますが、何かいわれのあるものですか。チコちゃんは、将棋を
    指しますか、藤井聡太。5冠王を狙っているとか。

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