寿司屋で地震とドイツ人に遭遇した話

いんせききぼう

一人寿司屋で食ってたら両隣がどっちもドイツ人になった。左側が二人組で二人とも灰色のスーツを着てドイツ語でずっとなにか喋っていた。右側はラフな格好の一人客だった。一人で来ていた人も途中携帯でドイツ語を話していたので恐らくドイツ人だろうということになった。

みんな上手に箸を使っていて、海外ドラマでも俳優が上手く箸を使ってランチやディナーを食べるシーンがあるが、もうすでに食器としてポピュラーなんだろうと実際に見て改めて思った。

しばらくして地震が起きた。

P波のような小刻みな縦揺れだったので私は少し警戒していた。たとえ小さくてもP波が明確な場合は遠くの大きな地震だったり、長周期の地震だったりするからだ。ただS波を身構えてみたものの横揺れは来ることがなく、その微々たる縦揺れだけで地震は終わっていた。

震度にしたら1程度だろう。座っていても気づかない程度の小さなものだった。もしかすると過積載巨大ダンプカーが高速でビルのすぐ脇を横切っただけかもしれない。

ドイツ人二人組のほうは話に花が咲いていたのかこの地震に気づいていない様子だが、ふと右隣の一人のほうを見るとバッチリ目が合う。彼は振動から守るように自分の荷物を手で押さえていた。日本人ならそんな大げさな行動にはならないが、地震慣れしていないドイツの人にとってはこの程度でも恐怖を感じるようだ。

不安そうな顔つきだったので思わずにこやかに「earthquake」と伝えると、彼もパッと笑顔になり一言二言何か言ってきたが私にはわからなかった。多分英語だがヒアリング能力が足りなくて聞き取れなかった。最近海外ドラマを見まくっているお陰で私のヒアリング能力は上がっていると思い込んでいたが、とんだ思い違いだったようである。残念。

この日は九州で震度7の地震があり関東でも小さな地震があったので、一通り食べ終わって帰り際に「今日は地震が多いです、気をつけて」と、先ほどの彼に私なりのめいいっぱいの英語で話しかけると、「t…today!?!?」とちょっと動揺させてしまったが、最後は笑顔でグッバイと互いに別れを告げて寿司屋を後にした。外の風が涼しく心地よい。「夏は来ないでいいぞ」と澄んだ夜空に念を押しながらバス停までダラダラ歩いた。

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